国民年金保険料は、自営業者やフリーランスが支払う必要がありますが、月額16,540円(令和2年度)となっています。この金額が払いにくいと感じる方もいるかもしれませんが、保険料を払わなかった場合はどのような影響があるのでしょうか?今回は、国民年金未納者の数やその後に起こることについて説明します。未納者にならないためには、年金未納のデメリットを理解し、払えない場合には対策をとることが重要です。
国民年金未納者になるのは、自営業者やフリーランスです。一方、会社員は厚生年金保険料が給料から引かれているため、国民年金保険料も含まれているため未納はありません。また、会社員の配偶者である専業主婦などは、国民年金保険料を負担する必要がないとされています。
厚生労働省の「国民年金の加入・保険料納付状況」によると、公的年金加入者数は令和元年度において約6700万人です。そのうち第一号被保険者は約1450万人、その中の未納者(24か月以上未納)は約125万人です。未納者の割合は全体で1.8%、第一号被保険者の中では9%近くになります。なお、この未納者の中には申請や特例により免除された人も含まれていません。第一号被保険者のうち、保険料を少なくとも一部支払っている人は約半数です。
厚生労働省データを元に作成
また、国民年金保険料は納期限から2年間までに支払うことができます。平成29年度分の保険料の中で、令和元年度までに最終期限に支払われた割合(最終納付率)は76.3%です。
下記のグラフによれば、年代別の最終納付率は若い世代になるほど低くなっています。
厚生労働省より抜粋
未払いを続けた場合どうなるか
第1号被保険者のうちの約10%が未払いで、保険料の2%が未支払であることが判明しました。一定数の人が年金を支払っていないということは、安心することはできません。継続的な年金未払いには以下のような欠点があります。
①将来の年金が減る
国民年金から受け取れる老齢基礎年金は、40年間保険料を支払っていた人でも年間781700円(令和2年度)ですが、これでは決して十分ではありません。未払い期間があるとさらに減ります。老齢基礎年金を受け取るには少なくとも10年の受給資格期間が必要であり、これに足りなければ年金は0になります。年齢が上がると年金を支払える期間も短くなるので、後悔することもあります。
②障害年金や遺族年金が受け取れない可能性も
国民年金から受け取れるのは老齢基礎年金だけではありません。障害者になった場合に受け取れる障害基礎年金や、死亡した場合に遺族に支払われる遺族基礎年金もあります。未払い期間があると、これらの年金も受け取れない可能性があります。
③財産が差し押さえられる可能性も
国民年金保険料の支払いは任意ではなく義務です。保険料を支払える財産があるのに支払わない場合。毎年1万件近くが差し押さえなどの処置を施されています。滞納せずきちんと支払いましょう。
救済処置もあるので困ったときは自治体に相談を!
国民年金保険料を支払うことが難しいと感じる場合には、申請により免除が可能なことがあります。所得が少ないなどの理由で、全額または一部の免除が申請により受けられます。この場合、納付する必要がなくなりますが、年金の受給資格は持続されます。全額免除の場合でも2分の1の年金額が支給されますので、放置するよりもメリットがあります。要件があるため、市町村役場または年金事務所で相談することがお勧めです。